2011年12月19日月曜日

アメリカ-金融規制、所得格差、貸倒

以前アメリカのトップ1%層が総所得に占める割合をグラフにしたポストをのせたが、Reutersにトップ10%層が総所得に占める割合の推移を銀行の貸倒れ率と併せて表示した以下のグラフが載っていた。赤線がトップ10%が総所得に占める割合(右軸)、黄色線がGDPに占める貸倒率(左軸)。規制レジームとしてグラススティーガル法に代表される強い金融規制とそれが撤廃された1980年以後の点線が入っている。
出所:David Cay JohnstonのReuters blog, 3 Dec, 2011のポストより

これを見ると:
  • トップ10%の所得は戦間期に下がりそのあと1980年代まで一定だったが、1980年以後急増している(以前このブログで示したトップ1%の結果と整合的
  • GDPに占める預金の貸倒率は1940年代から1980年(グラス・スティーガル下)まで低位で安定していたが、それ以後1990年頃と2008年のリーマンショック以降に増加している
  • 総じて2つの金融規制レジーム(グラス・スティーガル等の金融規制があった時期とそれ以後)下における銀行貸倒と所得の格差には相関があるように見える(因果関係があるかどうかは分からない)
このグラフはHarvard Business SchoolのDavid Moss教授の研究に依拠しているようだが、Mossは上記の点を指摘したうえで、「もちろん相関は因果関係を意味しないが、上記のグラフは更なる研究の動機付けになるには充分である」と述べている