2011年11月9日水曜日

世界のトップ1%層の所得推移(時系列比較)

前回人口のうち1%を占める層(超富裕層)が総家計所得に占める割合を国際比較(1998年)で見たが、Andrew Leighのホームページからは時系列のデータも手に入る(このようなデータを公開してくれていることに感謝します)。

以下は同数値をグラフ化したもの。期間は1900年から2004年まで。



上をみるとばらつきはあるが、大体趨勢があることがわかる。以下筆者が独断で解説を入れた。
実証的な根拠はなく、単に上のグラフの趨勢をおっただけだが、以下の3つの期間にわけられるような気がする。
  • 第二次世界大戦とその直後(1937-1950): この期間に値が激減する。戦争体制とその終結がトップ1%の所得割合にも影響したように見える(日本の場合は総力戦体制・財閥解体・農地解放等の影響?)。逆にいうとこの期間以前はほぼ各国共通に今のアメリカ並みであったということ(日本でいうと「戦前の会社重役の暮らしはお殿様みたいだった」、といった類の話と整合的か)
  • 冷戦・戦後の経済成長期(1950-1985):いわゆる冷戦を伴う先進国の戦後の経済成長期とオイルショックにまたがる期間。この期間の同数値は安定か漸減
  • 冷戦後(1989-):冷戦後、世界市場が統合された時期(グローバライゼーション)。世界各国の数値は若干上昇傾向か?アメリカの数字の上昇が際立って大きいのはアメリカの個別要因に起因するもののように思える。これに関しては複数の論者が指摘している、アメリカでの超富裕層が総所得に占める割合の拡大は金融規制の撤廃に伴う金融セクターの給与の上昇にあるのでは、という話があてはまるのかもしれない。