2011年9月30日金曜日

サムスンvs日本メーカー④研究開発費

前回サムスン電子と日本メーカーとの間の売上構成の差異を見た。今回は製品を生み出すために毎期費やされる(はずの)研究開発費を比較した。


以下のグラフは各社のアニュアルレポートに記載のある直近期の(年間)研究開発費を同期間の売上で割った数字である。
表を見る限り、日本メーカーとサムスンの間に研究開発費が売上に占める割合において差異はほとんどないようである。

2011年9月29日木曜日

サムスンvs日本メーカー③売上(「何」を「どこ」で売っているのか?)

前回はサムスン(電子)と日本メーカーのBS及びPLの比較をしてみたが、今回はサムソンの売上を日本メーカーと比較するかたちで概観してみる。


便宜のため、前回使用した各社の直近期の売上表(単位兆円)を以下に再掲する(サムスンの計算方法は前回のポストに記載)。
以下ではサムスンのHPを参考にして2010年1-12期における売上の項目及び地域ごとの数字をグラフ化した。
比較のために上表の日本メーカの中で最も売上の大きい日立製作所について同様のグラフを以下にのせる。
注:日立製作所の売上構成は日立のアニュアルレポートにある項目をそのまま抜き出したものである。

サムスンと比較すると、日立製作所の売上構成品目/部門(11部門)の多さと、売上に占める国内割合の大きさ(57%)が目につく。
ただし、以下に示す各社の部門別の売上割合が示すように日立の売上構成品目/部門の多さについてはむしろ日立の特殊事情といったほうがいいかもしれない。
一方サムスンと比較した場合の国内売上比率の大きさ(=海外売上比率の小ささ)は日立の特殊事情ではなく、ここで取り上げた日本メーカーのすべてに共通する。

以下に各社の直近期の売上高に占める国内及び海外売上比率を示す。
サムスンの国内(=韓国)売上割合は日本メーカーの国内(=日本)売上割合と比較するとかなり小さい。これをもってサムスンは「グローバル化が進んでいる」と見るのか、あるいは「国内の市場が日本と比べて小さいため海外売上の比率が大きくならざるおえない」と見るか、あるいは「国内市場の小ささ」→「結果としてグローバル化に成功」ととらえるべきなのかはよく分からない。

2011年9月28日水曜日

サムスンvs日本メーカー②BS・PL項目の比較

前回サムスン(電子)と日本の電機メーカーに関して時価総額での比較を行ったが、以下では両社の貸借対照表と損益計算書のいくつかの項目を比較してみる。


PL項目とBS項目












注意点:
1. 上記のそれぞれの数字は各社の直近のAnnual Reportから抜き出しているが、抜き出した数字が相互に比較可能かどうかはよく分からない。
⇒例えば「売上」として、SamsungはRevenue、SonyはTotal Sales、PanasonicはNet Sales、ToshibaはNet Sales、HitachiはRevenues、FujitsuはNet Sales、NECはNet Sales、の数値をAnnual Reportから抜き出しているが、それらが比較可能な数字なのかどうか不明。
2. サムスン(電子)の数値はサムスンのAnnual Reportに記載されたドル建ての数値に2010年12月31日(Samsungの2010年決算期の最終日)時点の円・ドルレート(1ドル81円)を掛けることとで日本円に換算したものである。


以下の点が目を引く。
  • PL項目の比較では、サムスンと日本メーカーとの間での営業利益/売上の差異が目立つ。サムソンは売上の約11%を営業利益としてあげているが、日本メーカーの同比率は最も高いもので約5%、低いものだと2%となっている(以下で図にしてみた)。
  • BS項目では、実はサムスンの総資産は日本メーカーに比べてそれほど大きなものではないが(事実Sonyよりも小さい)、純資産/総資産比率は日本のメーカーに比べてかなり高いことが分かる。


営業利益/総資産比率(%)
ただ、上記だと用語の定義が各社ごとに違っているかもしれず、各社間の比較が可能なのかよく分からないので、以下では各社ごとに年間の営業利益を総資産(期末時点)で割った数字を計算してみた。


この比率は「各社が手持ちの資産を使って年間でどれだけの利益(本業での利益)を得たか」を比率として大雑把に*表すことを意図している。
*この目的のためにはより適切な比率や計算方法が色々あるのだろうが、大筋を把握するための計算、と割り切って使用した。


この数字でもサムスンは日本メーカーを引き離している。

2011年9月27日火曜日

サムスンvs日本電機メーカー①時価総額

昨日の日経の記事にも韓国のサムスン電子(Samsung Electronics: 以下サムソン電子を「サムスン」と略す)とアップル(Apple Inc)の訴訟が載っていたが、最近両者の訴訟合戦は激しくなっている。多くの論者はこれを両社のビジネス上での競争が激しくなってきたことの証左であるととらえている。


約10年前にある日本の電機メーカーの重役にサムスンについて聞いたことがあるが、そのときは「(サムスンは)まだ脅威と認識する存在ではない」というような答えだったと思う。実際に当時のサムスンへの認識は低付加価値の部品等を安いコストで製造する下請けメーカーといったところが一般的だったと思う。


それから10年、現在サムスンはアップルから脅威と見られているという状況になっている。(筆者はこの分野は完全に素人なので)自分の勉強も兼ねて、以下でサムスンの現況を日本の電機メーカーと比較してみた。


注:再度繰り返すしますが筆者はこの分野は素人なので、以下の計算が本当に適当なものなのかよく分からず、間違いがあっても責任は一切とれません。


時価総額
まずはマーケットでの評価を比較するため時価総額を比較してみた。以下は2011年9月27日(午前)時点のサムスンと日本の主要な電機メーカーの時価総額の比較である。




*日本メーカーの時価総額は2011年9月27日(午前)時点の数字をYahoo Financeから取得した。
*日本メーカー合計はSony、Panasonic、東芝、日立、富士通、NECの時価総額を合計したもの。
*サムスンの時価総額はここに表示されているSamsung Electronicsの2011年9月27日時点の時価総額117.7兆ウォンを同日時点の為替レート(1ウォン=0.067円)で日本円に変換している。
上の表をグラフにすると以下のとおり。
為替レートの問題があり、異なる市場で取引されている銘柄の比較はなかなか難しいが、単純に上記を比較すると、上記の日本メーカーの時価総額を合算してもサムスンに届かない。


ただ、よく指摘されるように時価総額は投資家の期待によって短期に大きくスイングすることもあるのでより精密に比較したいのであれば貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)の比較もする必要がある(ように思われる)。


次回PL及びBSのいくつかの値を取り上げて比較をする予定。

2011年9月26日月曜日

中東 - オバマ・パレスチナ国連加盟

2011年9月20日のアルジャジーラWebの論説欄に掲載されたRobert Greinerの論説 "The humiliation of Obama"の翻訳を以下に掲載する。


以下の翻訳に関して著作権者の許諾はとっておらず、著者(ないしそれに該当するもの)から指摘された場合は直ちに本ポストを取り下げる。

Robert Greiner, The humiliation of Obama, (last modified ver) 20 Sep 2011, Aljazeera English Web, available from here
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オバマを待つ恥辱

遅かれ早かれそれはやってくるだろう。もっともありえそうなのは、ニューヨークにおける彼の始めての首脳会合の直前である。あるいはネタニエフ[注:現イスラエル首相]とのほんのちょっとしたミーティングの前かもしれない。はたまた、各国の首脳とのばつの悪い会見が繰り返された結果としてかもしれない。けれどいずれにせよその時はやってくる。


来週ニューヨークで開催される本年の国連総会の開会式に出席するオバマ大統領は、どこかの時点でほとんど抵抗できないような衝動に駆られるだろう。彼は彼の行動すべてを規制し、彼個人の尊厳に対してまで命令を加えようとして立ちふさがる数々の政治的なハードルや息をつまらせるような官僚組織に対して立ち上がり、「もうたくさんだ(Enough)!」といってやりたくなるだろう。


1995年4月、クリントン大領領はホストとしてパキスタンのブット首相を迎えていた。当時アメリカ・パキスタン関係は 急激に悪化していた。数年前アメリカはPressler Amendmentと呼ばれる修正案にもとづきパキスタンに経済規制を課し始めていた。その修正案では、パキスタンが核兵器の開発を続けていることが発覚した場合、アメリカはパキスタンへの経済援助及び軍事兵器の売却を完全に停止することになっていた。 ブッシュ(父)大統領がパキスタンによる核兵器開発を発見したため、当時アメリカ・パキスタン間の関係は大幅に縮小されていた。


高まりつつあった両国間の悪感情の根幹には、従前合意された28機のF-16戦闘機のパキスタンへの売却をアメリカがキャンセルしたという事態があった。パキスタンは当該戦闘機の購入契約にサインしたさい、もしパキスタンがPressler Amendmentに違反すれば当該契約はキャンセルされるかもしれない、ということを認識していた。当該修正案とブッシュ(父)大統領が主張したパキスタンの核開発の関与を考えあわせれば、当該航空機のパキスタンへの売却を中止することには疑問の余地がなかった。ただ、ここには1つ問題があった。


パキスタンは戦闘機の代金として巨額の金額を先払いで支払っていたが、アメリカによると、パキスタンは戦闘機を受け取れないだけではなく、(当該戦闘機購入のため)パキスタンが(先払いで)支払った代金もパキスタンには返還されない、とのことだった。つまり、(飛行機製造の)請負会社はパキスタンが支払った代金を使ってしまっており、お金はすでになくなっていた。飛行機はできあがっていたが、アメリカの法律上パキスタンへの賠償資金を支払うための予算を捻出することを可能にするような規定がなかった。


たしかに、F16を別の国に売ってその代金をパキスタンに支払うことはできたかもしれない。でもそれには(政権に対して)敵対的なアメリカ議会の許可がいったかもしれないし、そのような許可はすぐには得られなかっただろう。端的にいって、この件に関してできることは何もなかった。その上、まるで被害に侮蔑を加えるかのごとく、パキスタンには当該戦闘機1機ごとに高額の保管料が課せられた-パキスタンが手に入れることのできない戦闘機1台ごとに。


擁護できないものを擁護する


アメリカの外交・安全保障関連の機関が1つの方向を向いて動き出したさいには、すごい光景が現れる。巨大な官僚機構は決定された方針に沿うような入念な理由付けをつぎからつぎへと大量に生産する。これらの理由付けは何十もの会議の場で、何十もの違うやり方で、気の滅入るほど反復される。この問題(パキスタンへの代金支払い問題)はその典型的なケースだった。


私自身その当時国務省に勤めており、国務省に勤務する者として国務省の内部からその光景を目撃した。明らかに正当化できるはずのないことを正当化するための理屈があらゆる階層のパキスタン人に対して伝えられた。それらの理屈は国務省とホワイトハウスのスポークスマン達によって発信され、議会証言の中で繰り返され、さまざまな違った設定のもとでマスコミに伝えられ、議員や公衆からの質問に答える書簡の中で詳述された。Executive Branch(アメリカの行政最高機関)内のコミュニケーションについては何も語られなかったが


官僚組織が作り出すこれらすべてのモーメンタム(運動)は、クリントン大領領が同様のメッセージをブット首相に直接伝えるというクライマックスへ向けて一直線に突き進んでいた。


その会見のための準備は、繰り返すが 、ものすごいものだった。作成のために何百人もの人間の時間が必要となる膨大なブリーフィングブックが作成された。それらのブリーフィングブックは、問題の状況、背景、そして入念に彫琢された政策を正当化するための理由付けを含んでおり、それらはアルファベットのタブによって整理された法律面のブリーフィングメモと大統領を実質的に腹話術士の人形にするために作成された会見時に話すべきことを詳述したポイントによって裏付けられていた。一切合財が国務長官と国家安全保障会議を経て大統領自身に至るシステムによる協調のもと整えられた。


そしてその時がきた。しかしこのケースでは最後の最後、これらの体系化されたナンセンス(官僚組織の慣性がつくりあげた記念碑)を注意深く読み込んだ後、ブット首相と会い、首相の目を見ながら、彼自身明らかに正当化できないことが分かっている理屈を主張しなくてはいけない会議に出席するまさにその直前で、クリントンはこれにかかわった官僚組織の誰一人として(絶対に誰一人として!)過去において考えたことすらないようなことを行った。


シンプルで曇りのない常識と神がほとんどすべての5歳児に与えるような生得的な正義感をもとにして、クリントンは「でも、これはフェアじゃない(but this is not fair)」といった。そしてクリントンは、(なんという驚き!)、会見の部屋に入っていき、同じことをブット首相にも言った。


ここに後刻2人のリーダーがプレスの前で会見するために現れたさいにレコーディングされたクリントンの言葉がある。「もうあなたにははっきりと言ったけれども、そしていかなるアメリカ大統領も以前にこんなことを言ったことはないと思うけれども、お金と兵器を両方ともアメリカが保持しているのは正しいことではないと思う。それは正しいことではない。なので私はこの問題の解決策を見つけるために努力をしてみる。」


もしあなたがアメリカ外交を職掌とする官僚組織で働いたことがないならば(それはつまりそれを内部者としてみたことがない、ということだが)、クリントンのこれらの発言がどれほどの効果をもったかを想像することすらできないだろう。これらの組織によって入念に準備され整えられた政策的立場が、最後の最後で、しかも世界中が見つめる場で、大統領によって覆される、それも完全かつ不意に。それは素晴らしいシーンだったに違いない。非常に悔いが残ることに、私自身はすべての準備を見たうえで、当のその大円団にはいあわせなかった。別の仕事に移っていたんだ。その場面を見るためならば何でも差し出しただろう。


そんなことがもう一度おこるんだろうか?


でも、この出来事は東アジアの外交政策をフォローするサークル以外ではフォローする人のほとんどいない比較的マイナーなイシューだった。だから想像してみてほしい(できるのであればだが)。今週オバマ大統領が国連の場でパレスチナの国連加盟申請を巡って現在のアメリカの外交政策を正当化しなくてはならない場面で同様なことが起こる、ということを。


我々はアメリカが、「アッバス議長がやろうとしていること(国連への加盟申請)は非生産的だ」、「それはオスロ合意を反故にするものだ」、「それはイスラエルとの間で議論によって合意に達するという必要な手続きを避けるものだ」、ということを言い続けていることを知っている。我々はアメリカ外交を職掌とする組織が、回転を上げるのを見てきている-アメリカの特命大使がパレスチナ人とthe Quartet(アメリカ、ロシア、EU、国連)に対して、同じような主張を繰り返すのを見てきている。それらの主張は国務省とホワイトハウスのスポークスマンによって練り上げられ、大小さまざまな会議の場で伝えられてきている。


けれど、同じことを何度も何度も声高に一貫して繰り返したしても、それが実際にそうなるわけじゃない。オバマ大統領はこのことをよく知っている。彼はイスラエル・パレスチナ問題を完全に把握している。彼は和平実現への道(Peace Process)が袋小路に突き当たっていることを理解している。


政権開始後の早い時期にオバマはウエストバンクへの入植を完全に止めることをイスラエルに命じることで(イスラエル・パレスチナ間の)協議を復活させようと試みたが、イスラエルのネタニエフ首相(の無視により)不面目にもその命令を取り消す羽目になった。彼が今年5月に向こう見ずにもイスラエルに対して公式に、イスラエルの現在のパレスチナ政策は受け入れがたく持続しがたいと告げ、現況の手詰まりを打開する交渉のやり方を示唆したとき、オバマはネタニエフにより公式に強い調子で非難されたうえ、彼自身の党のリーダーたちがイスラエルを支持してオバマを見捨てるという屈辱を目にする羽目になった。


そのような事態を受け、公式には認めることはできないけれども、オバマはパレスチナ問題から手を引くことにした。 彼は彼にできることは何もないと悟った。そうはいっても、パレスチナ問題がどこかにいってしまうことはない。


そして今、再び、彼は彼自身のそれとは根本的に相反するイスラエルの外交政策を公の場で支援することを強いられている。オバマはネタニエフには、正当な国家としてのパレスチナの出現を許す気はまったくないこと、したがってパレスチナには国連に訴える以外の選択肢がないことをよく知っている。


同様に彼は、世界の中で孤立しているアメリカのイスラエルへの支援とアメリカによる避けがたいパレスチナの国連加盟への拒否権の発動は、民主化しつつある中東においてアメリカの立場をおそらく永遠に掘りくずし、アメリカが名目的に掲げるアラブの人々の権利への支援は単なるごまかしであるということを明るみに出すであろうことを理解している。


人間としての側面


これらすべてのことはよく理解されている。これらのことがこれから起こるだろうということを我々は知っている。けれど、しばしば見逃されがちなのは(オバマ大統領の)人間としての(私的な)側面[the human dimension]である。


偉大な国家のリーダーには、1995年の4月のあの日のビルクリントンがそうであったように、そのどこかの時点で公の事柄が私的な事柄になる。私はオバマ大統領を個人的に知らない。だが、私の感じではこれは誇り高い男である。彼は彼自身をただの政治家ではなく、変革をもたらすリーダーだと自認している。彼はアメリカの中東との係わりにおける彼自身の役割として、変革をもたらすリーダーという役割を掴み出そうと意識的に試みた。結果として彼は公の場で、不面目にも繰り返し邪魔された。


政治の現実を前にして原則(プリンシプル)を犠牲にしなければいけないこと(すべての政治家はある時点でそうしなければならなくなる)と、それを公衆の面前で行うということ、つまり彼よりも事情に詳しい他国の首脳との1対1のミーティングでそれを口にすると相手の首脳たちが以後自分を低く評価することが分かっているような明白な誤りをそれでも口にしなければならいこと、はわけが違う。


これがニューヨークでオバマを待ち受けることであり、彼はそれを知っている。


アメリカの大統領のように多忙な身であれば、不愉快なことに対面することを避けるための多くの手段がある。けれどある時、大統領がニューヨークでブリーフィングブックを手に持って一人きりでいるときに、それはやってくるだろう。彼は胸苦しくなり、政治的なご都合主義を振り払うためにこのプラスチック留めされた1巻を持ち上げそれを誰かに投げつけたい、そして外に出て行き彼が本心で考えていることをいってしまいたいという衝動を覚えるだろう。


我々は大統領がそのようなことをしないことを知っている。 彼はこの衝動を抑えつけるだろう。そのようなことをするのは政治的な自殺行為だ。やはりNoである。大統領は自身の怒りを呑み込み、彼がしなければならないことをするだろう。けれど、アメリカが、的外れかつ不当にも、感謝の念をもたず、自己破壊的である同盟国に対して盲目的に忠誠をつらぬくことで、自身の安全と世界での地位を再び掘りくずそうとしているのとともに、それ以外のこと、それよりはるかに私的な事柄についても我々は目撃することになる、ということに思いをいたすのはいくらか価値があることである。バラク・フセイン・オバマ個人の公の場での恥辱。


著者のRobert Greinerは27年間CIAのClandestine Serviceに勤めた後引退した退役軍人。
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2011年9月26日初出

2011年9月25日日曜日

北朝鮮 - GDP/平均寿命

北朝鮮の経済状態の遷移を見るためGapminderを使用してみた。


1975年・2009年の各時点での北朝鮮の一人当たりGDP(購買力平価ベース)を横軸、平均寿命を縦軸にとったグラフを作成した。


比較のため韓国を表すポイントもいれてある(丸の大きさは各時点の人口を表している)。


1975年の北朝鮮と韓国| 縦軸:平均寿命・横軸:一人当たりGDP(購買力平価ベース)
出所: Gapminder (http://www.gapminder.org/)


2009年の北朝鮮と韓国| 縦軸:平均寿命・横軸:一人当たりGDP(購買力平価ベース)
出所: Gapminder (http://www.gapminder.org/)
2地点の比較:
  • 1975年当時平均寿命・一人当たりGDPともに韓国を上回っていた北朝鮮は、それから約35年後には両指標で韓国に大きな差をつけられている。
  • 北朝鮮はこの35年間で一人当たりGDPが低下している。


以下では比較の対象を広げるため2009年時点のグラフに韓国以外の国のポイントも入れてみた。
出所: Gapminder (http://www.gapminder.org/)
北朝鮮の近傍に位置するグループと韓国の近傍に位置する国のグループからも両国経済の間の格差が見てとれる。

2011年9月24日土曜日

中東- パレスチナ国連へ加盟申請


2011923日にパレスチナは国連への加盟申請を提出した。

以下は当該事項を報じているAljazeera記事(Palestinians submit statehood request to UN: 23 Sep 2011)からの抜粋。なお、以下では英語本文の逐語翻訳をおこなっておらず、要点だけを書きだしている。
 Palestinian president Mahmoud Abbas has handed over a historic request to UN chief Ban Ki-moon, asking the United Nations to admit the state of Palestine as a full member.The Palestinian leader won huge applause and a standing ovation on Friday as he entered the hall just after submitting the membership request."I call upon the distinguished members of the Security Council to vote in favour of our full membership," Abbas told the UN General Assembly."I do not believe that anyone with a shred of conscience can reject our application for a full membership in the United Nations and our admission as an independent state," Abbas said.In his address, Abbas said he was ready to return to negotiations based on the 1967 borders, saying he did not want to isolate or delegitimise Israel.
  • パレスチナ自治政府のアッバス首相(注:日本だと「議長」と表記されることが多い)は、国連事務総長のBan Ki-moonにパレスチナの国連への加盟申請を手渡した。
  • 金曜日の加盟申請書提出後、国連総会の議場に入ったアッバス氏は大きな拍手とスタンディングオベーションに迎えられた。
  • アッバス氏は演説のなかで「誰であれ良心を持ち合わせているものであれば、我々の加盟申請を拒否できるものはいないと信じている」と述べた。
  • 演説のなかで、アッバス氏は、(パレスチナは)1967年の国境線を基準として(イスラエルとの領土問題に関する)協議を再開する用意があるとし、彼はイスラエルを孤立化させたり、イスラエルの国家としての合法性を否定したりする気はない、と述べた。
In Ramallah, the political capital of the West Bank, many cars were flying the Palestinian flag. Posters of Abbas and his predecessor, the late Yasser Arafat, festooned in the streets, as the crowd swelled to the largest seen in Ramallah since Arafat's funeral in 2004."I've heard a chant tonight that I've never heard before," Al Jazeera's Cal Perry, reporting from Ramallah, said. "People are chanting for Mahmoud Abbas. His speech was really playing to the next generation."
  • ウエストバンクの首都であるラマラ(Ramallah)では、多くの車がパレスチナ旗を掲げて加盟申請を祝った。
  • アルジャジーラのCal Perryは「昨夜これまで聞いたことのないような大声での叫び声(加盟を祝する叫び声)を聞いた」、「人々はアッバス氏に対して大声での支持を表明している。彼の国連でのスピーチは次世代の若者の大きな支持を得た。」
Full UN membership can only be bestowed by the Security Council where Abbas' request will almost certainly be derailed, either by a failure to win the needed nine votes in the 15-member body or, if the necessary majority is obtained, by a veto.The Palestinians say they are seeking full UN membership to underscore their right to statehood, but have left open the option of a lesser alternative - a non-member observer state.Such status would be granted by the General Assembly, where the Palestinians maintain broad support.Siding with Israel, Obama has said a Palestinian state can only be established as a result of negotiations, and that there is no short-cut to Palestinian independence."I extend my hand to the Palestinian people," Israeli Prime Minister Binyamin Netanyahu said during his own address to the General Assembly, shortly after Abbas' speech."The truth is that Israel wants peace. The truth is that I want peace," he said.
  • 国連への加盟は安全保障理事会によってのみ与えられるが、安全保障理事会ではアッバス氏が提出した加盟申請はほぼ確実に拒否されることが予想される(加盟に関しては当該加盟申請に関して15か国中9か国の投票を得る必要があるが、もし投票が得られたとしてもアメリカが拒否権を発動することが予想される。
  • パレスチナ側はあくまでも国家として国連への加盟を望んでいるが、もしそれがかなわない場合には代替として(非加盟国)オブザーバー(a non-member observer state)というオプションに関しても考える、としている(オブサーバーの地位は国連総会の投票で決まるが、総会の場ではパレスチナは広範なサポートが得られることが予想される)。
  • この問題に関してイスラエル側についてきたオバマ大統領はパレスチナの国家としての地位はあくまでも(イスラエルとの2国間)協議によって達成されるべきであり、パレスチナの独立に関してはそれ以外に近道はない、と述べてきた
  • アッバス氏のスピーチの後に続いてスピーチを行ったイスラエルのネタニエフ首相は「私はパレスチナの人々に対し、手を差し伸べている」、「イスラエルは心から平和を望んでいる。私は心から平和を望んでいる」と述べた。
Abbas has said negotiations remain his preference, but that he will not resume talks - frozen since 2008 - unless Israel agrees to the pre-1967 frontier as a baseline and freezes all settlement construction on occupied land."The American administration did everything in its power to disrupt our project, but we are going through with it despite the obstacles and the pressure because we are asking for our rights," Abbas said late on Thursday
  • (過去において)アッバス氏は、(彼としても)引き続き協議を望んでいるが、同時に協議を復活させるためには、イスラエル側が1967年以前の国境線を領土問題を協議するさいの前提条件(Baseline)として認めることこと、及びイスラエルが現状行っているすべての入植を止めること、が条件になる、と述べている。
  •   (総会演説前の)木曜日にはアッバス氏は「アメリカ政府は我々(パレスチナ)の計画を阻止するためにあらゆる力を行使してきたが、我々はそのような妨害にもかかわらず前進している。なぜなら我々は我々の権利を望んでいるのだから」と述べた。
In the Gaza Strip, however, life was continuing as normal with no sign of any activity to mark the UN bid, which has not been backed by the territory's Hamas rulers.Al Jazeera's Nicole Johnston said Hamas security officials cracked down on people watching the Abbas address in Gaza City cafes.Our correspondent also said police confiscated Palestinian flags that crowds were waving in the streets.Speaking hours before the Abbas address, senior Hamas leader Ismail Haniyeh said the UN bid would not bring independence.
  • ガザ地区では、国連への加盟申請を祝するような動き(ガザ地区を支配するハマスは国連加盟申請を支持していない)はなかった。
  • アルジャジーラのNicole Johnstonはハマスの安全保障当局がガザ地区のカフェでアッバスの国連での演説を見ていた人々を取り締まったと述べている。
  • アッバスの演説の数時間前ハマスの高官であるIsmail Haniyehは国連加盟申請はパレスチナの独立をもたらさない、と述べた。
この問題に関して、The Economistはパレスチナの国連への加盟申請を支持している

2011年9月23日金曜日

中東-サウジアラビア・アメリカ関係

以下、アラブ圏で大きな影響力をもつ放送局アルジャジーラ(Aljazeera)のトーク番組「Inside Story」からの抜粋。


Inside Storyは通常司会者が3人のゲストとともに20分ほど様々な題目について討論するトーク番組。


2011年9月15日のInside Storyの題目は「Saudi warn US over Palestine」。司会はLaura Kyle。


現在中東では民主化の流れの中で各国の政治体制の改変が進んでいる。チュニジア、エジプト、リビアでは実際に体制が転換。他にシリア、イエメン等で大規模な民主化要求が起こっている。


これらの体制変更に伴う地域間のパワーバランスの変化の中で最近イスラエルとトルコ・エジプトとの間で衝突が起こっており、中東でのイスラエルの位置に関し、各所から懸念が表明されている。


中東に関してアメリカは一貫してイスラエルに深くコミットしているが、イスラエルを除くとサウジアラビアは現状数少ないアメリカの中東での同盟国。


そのサウジアラビアも、パレスチナ自治政府による国連への加盟申請(パレスチナ自治政府が「国家」として国連への加盟を求める申請)に関し、当該加盟申請への拒否権行使を明言するアメリカに対して強い異議を唱えている。


サウジアラビアのPrince Turki Al-Faisal(FMR Head of Saudi Intelligence)によると、もしアメリカが変わらず拒否権を行使するのであれば、サウジアラビアは今後アメリカの外交方針と相反する外交をイラク・アフガニスタン・イエメンで展開する用意があるとのこと。


今回のInside Storyはこの件に関し、以下の3人のゲストとともに討議。


司会:Laura Kyle
Jamal Khashoggi (以下JK)-Al Arab News Channel:サウジアラビア側の視点を解説
P J Crowley (以下PJ)-Former State Department Spokesman:アメリカ側の視点を解説
Salman Shaikh (以下SS)-Director, Brookings Institute Doha :


以下、討論のなかからいくつかの点を抜き出す。


国連加盟問題:
・PJ:現状パレスチナ側が具体的に国連のどこへ要請するのか分からないので、まだ正確には状況を検討できない(UNの安全保障理事会に行くのか、または安全保障理事会をバイパスして、総会の場に行くのか)。安全保障理事会に行く場合アメリカは拒否権を発動するだろう。総会の場に行く場合は参加国へのアピールを通じてパレスチナ側は自信の地位の向上、それによってイスラエルとの交渉上もレバレッジが得られるかもしれない。


パレスチナ・イスラエル協議
・PJ:現状のパレスチナとイスラエル間協議のそもそもの問題は、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナのアッバス議長との間で信頼関係がまったくなく、協議そのものを可能にする条件がないこと。


・SS:(上記)信頼関係を醸成できない大きな原因の一つはイスラエルがWest Bankへの入植(Settlement)を継続している点。パレスチナ側は18か月に渡り、イスラエル側の入植者が3倍になるのを見てきた。アッバス議長が望んでいるのは(パレスチナが国家として承認されることで)イスラエルとの関係を国家対国家の関係にして、交渉のポイントを変えることではないか。


サウジアラビア・アメリカの関係
・PJ:(アメリカとサウジアラビアの関係について問われて)現状アラブ諸国でおこっている民主化の影響によりアメリカとサウジアラビアの長年の同盟関係に負担がかかっていることは事実。と同時にアメリカとサウジアラビアでは利益が一致する領域はある(イランの核問題やイエメン等)。


・SS:サウジアラビアとアメリカの同盟関係は1940年代以降(あるいはもっと以前から)、中東を形作ってきた。今回のアラブの民主化に伴い新しい中東がどのようになるのかはまだわからないが、将来の中東は今後のアラブ諸国とイスラエルとの間の争いがどのように進行するのかによって形作られる気配が濃厚だと思う。


・JK:(現状アラブ諸国がアメリカに対して持つイメージについて聞かれて)アラブ諸国はアメリカが民主化運動に対して払った労力について一定の敬意を払っていると思う。ただし、現状の混乱が収まった後には(when the dust settled)、「パレスチナはどうなるのだ」という点にアラブ側の注意が行くことになる。この点についてリビアからも同じ疑問が早期に出されるだろう。パレスチナ問題はアラブ側にとってとても重要な問題である。アメリカはこの問題について手当てする必要がある。状況はイスラエルにとっても刻一刻と変わっている。直近イスラエルは過去にないほどのプレッシャーにさらされている。この問題についてトルコはアラブ側についている。エジプトも。イスラエルはアラブをより対等の立場で扱う必要がある。

2011年9月22日木曜日

北朝鮮 - Wikileaks


2010年11月にWikileaksにより流出した北朝鮮関連のCableについての解説記事 (Barbara Demick, December 01, 2010, Los Angels Times)


以下逐語翻訳はおこなっておらず、大枠での論旨を日本語にしている。

著者のBarbara Demickは脱北者のインタビューをもとにしたNothing to EnvySamuel Johnson Prizeを受賞。


"Beijing support for Korea reunification not so clear, despite leaked cables"
Reporting from Beijing — Is China really willing to dump its old ally, North Korea? Would Beijing support a German-style reunification of the Korean peninsula in which economic powerhouse South Korea absorbed its wretchedly poor communist neighbor?These may have been the impressions left by a stash of U.S. diplomatic cables relating to North Korea made public this week by WikiLeaks. But analysts who have followed the long entanglement of China and North Korea say that much of the information in the outed memos amounts to little more than dinner party chatter that reflects outdated opinion or wishful thinking.
  • 中国は長年にわたる盟友である北朝鮮を見捨てる用意があるのか?北京の共産党政権はドイツスタイルの統合(経済力で優位に立つ韓国が北朝鮮を併合する形の併合)を認めるのか?
  • 今週Wikileaksにより流出したアメリカの外交関連のCableはそのような印象を与えるかもしれないが、北朝鮮の外交関連事情に精通したアナリストは、流出した情報の多くは時代遅れもしくは希望的観測であり、ディナーパーティでの雑談以上のものではない、といっている。
The reunification discussion was reported in a memo sent by the U.S. ambassador in Seoul, Kathleen Stephens, after a lunch in February 2010 with a senior South Korean official, Chun Yung-woo, who is now national security advisor. He told Stephens, paraphrasing Chinese officials, that the younger generation of the Chinese leadership was fed up with North Korea's Kim Jong Il and ready to "face the new reality" on the peninsula. North Korea "had already collapsed economically and would collapse politically two to three years after the death of Kim Jong Il," Chun was reported to have said in the cable
  • ケーブルのメモのなかでは20102月に、韓国の政府高官(Chun Yung-Woo)がアメリカの大使(Kathleen Stephans)に対して、中国政府高官の言葉を言い換える形で、「中国共産党の若い世代は金正日に対してうんざりしており、朝鮮半島に関して"新しい現実(new reality"に向き合う用意がある」、「北朝鮮はすでに経済的に破たんしており、金正日の死亡後2,3年後に政治的にも破綻する可能性がある」と伝えたとされている。
"This is opposed to Beijing's declared position and would go against China's perceived interests," said Shi Yinhong of Beijing's Renmin University, speaking of a leaked cable that suggested China was prepared for the collapse of North Korea and for the country to be reunited under a South Korean-led government in Seoul. "Besides, it is just an American diplomat quoting a South Korean diplomat quoting a Chinese diplomat."
  • 北京レーニン大学のShi Yinhong教授は流出したケーブルが、北朝鮮の崩壊及びその後の韓国による北朝鮮の統合について中国側に受け入れる準備ができていると示唆される内容を含んでいることについて、「メモ(注:での当該部分の会話)は共産党政権が明示している外交姿勢と矛盾しており、中国の国益とも矛盾している」と指摘している。「さらに(この部分は)アメリカの外交官が、中国の外交官の言葉を引用した韓国の外交官の言葉を引用しているものだ」としている。
One of the most intriguing: An unnamed Chinese official complained to an American diplomat about shadowy business deals with North Korea. He said Chinese investors were buying mineral rights in North Korea that had provided the cash for the construction of 100,000 new apartments in Pyongyang and implied that the so-called "princelings" — the children of high-ranking Chinese officials — were enriching themselves in North Korea.
  • ケーブルの中で最も興味深い情報の一つは、中国政府高官がアメリカの外交官に対して、中国政府高官の子供達が中国が行う北朝鮮への援助・投資に絡むことで私腹を肥やしている、という苦情を漏らしていることだ。

In April of last year, shortly after North Korea launched a multistage rocket that Western officials feared was a test of Pyongyang's ability to deliver a nuclear warhead, Chinese Vice Foreign Minister He Yafei told the charge d'affaires at the U.S. Embassy in Beijing that North Korea was behaving like a "spoiled child," trying to get the attention of the United States.
Analysts said that the more derogatory comments were probably made by Foreign Ministry officials, who are less hard-line — and wield less power — than the officials from the Communist Party's International Liaison Department who actually control China's North Korea policy.
"These are likely from the people who are pro-Western and pro-South Korea," said Chung Young-chul, a professor at Sogang University's Graduate School of Public Policy in Seoul.
Moreover, Chung notes that some of the conversations described in the diplomatic cables took place in early 2009, during a period of high frustration with Pyongyang. Later in the year, he said, there was a major discussion about North Korea's strategic importance at high levels of the Chinese government that resulted in a tilt toward propping up Pyongyang.
  • 20094月に北朝鮮がミサイルを発射したさいには中国の副外務大臣(He Yafei )はアメリカの大使館に対し、「北朝鮮はアメリカの注意を引く為に"甘やかされた子供(Spoiled Child)"のように振る舞っている」と述べた。
  • アナリストは、おそらく中国外務省(Foreign Ministry officials)の高官は(金正日に対して)より軽蔑的なコメントをしただろうが、中国外務省は共産党政権のInternational Liaison Departmentよりも強硬主義ではなく、International Liaison Departmentに比べて外交に関する実質的な権限を握っていない、と述べている。
  • 「これらは親欧米、親韓国の筋によってなされたコメントだろう」、と韓国のSoganga大学のChung教授は述べている。
  • それに加えて、Chung教授は外交ケーブルによって流出した会話のうちのいくつかは、2009年の前半になされたものであるが、2009年の後半にかけて共産党政権の上層部で北朝鮮の戦略的重要性についての協議がなされ、結果として北朝鮮政権をささえる、という方向に中国の外交方針が調整された、と述べている。
Among other revelations about China to emerge from the cables: Diplomats complained that Beijing was failing to stop the export of North Korean missiles to Iran through China's territory. And an unnamed Chinese source told a diplomat that China's Politiburo was behind a cyberattack on Google.
  • 流出したケーブルによって明らかになったその他の事情:アメリカの外交官が、中国の共産党政権は北朝鮮のミサイルが中国のテリトリーを通ってイランに輸出されるのを止めることに失敗している、と苦情を述べている。
  • グーグルへのサイバーアタックの背後には中国共産党政権の政治局(Politiburo)がいた(中国[匿名]からアメリカの外交官への情報)。

2011年9月21日水曜日

北朝鮮-GDPと人口

CIAより


GDP


  • 2009年における北朝鮮の1人当たりGDP(購買力平価ベース)は$1,800(推定値)で世界194位。バングラディシュ、タンザニア、コートジボワール等と同水準。
    • 最下位はブルンジ、コンゴ(227位)。
  • 韓国は$30,000(2010年)で45位。モナコ、イスラエルと同水準。
    • ちなみに日本は$34,000で38位。英国[$34,800]と同水準。
  • ここから(時点の差異を無視すると)北朝鮮の1人当たりGDPは韓国の約6%(1,800/300,000)。
人口
  • 北朝鮮の人口は24,457,952人(2011年7月, 推定値)で世界48位。台湾(約23百万人)より多く、サウジアラビア(約26百万人)、マレーシア(約29百万人)より少ない水準。
  • 一方韓国の人口は48,754,657人(2011年7月、推定値)で世界26位。スペイン(約47百万人)より少し多く、南アフリカ(約49百万人)より少ない水準。
  • ここから北朝鮮の人口は韓国の約50%。


1人当たりGDPにおいて韓国の6%の北朝鮮だが、人口においては韓国の50%ということになる。

2011年9月20日火曜日

北朝鮮-食糧事情・交通インフラ

以下、北朝鮮の食糧事情とについてのEconomist(Sep 17 2011)記事。


・この夏の冷夏と洪水により、北朝鮮では首都である平壌(Pyongyang)を除くほとんどの地域で食糧不足(飢餓)がおきている、と援助団体は警告している。
・北朝鮮の支配層は国民を51の社会階層にカテゴライズしており、そのうち29の階層を下層階級(underclass)として分類している。
・下層階級に属するほとんどの国民は都市ではなく、田舎に住んでおり、食糧不足に苦しんでいる(犬の死骸や腐った食糧も食べているとのこと)。
・このような状況にあってなぜ国民が反乱を起こさないのか、についてGo Myong-hyun氏の解釈。
  1. 北朝鮮の都市化の進行率は25%ほどである(=3人の田舎に住む農民と1人の都市居住者)
  2. 都市に住んでいない農民は自分で農業を(自給自足で)行うことにより飢えをしのいでいる
  3. 重要なのは北朝鮮の国内の交通インフラ(鉄道・道路)は日本植民地統治時代に整備された国内西部側以外の北部・東部では未発達であること。
  4. 結果として食糧・援助物資の供給は西部で比較的良好ではあるが、東部と北部では劣悪なまま。
  5. この結果として北朝鮮自体が外部世界から隔離されているのと同時に、国内の東部に住む(大部分は下層階級の)住民は国内の食糧供給のネットワークから隔離されている。
  6. この隔離は結果として、支配階層にとってこれらの国民に食糧を供給する負担を軽減させるとともに、これらの国民が結束して反乱を起こす可能性を低下させている。
北朝鮮の相対的経済状況はGapMinderやCIAのFactbookで確認可能。