以下は財務省が発表している2011年1月現在の法人税の実効税率の国際比較である(出所:財務省 法人取得課税の実効税率の国際比較:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm)。
1.上記の実効税率は、法人所得に対する租税負担の一部が損金算入されることを調整した上で、それぞれの税率を合計したものである。
2.日本の地方税には、地方法人特別税(都道府県により国税として徴収され、一旦国庫に払い込まれた後に、地方法人特別譲与税として都道府県に譲与される)を含む。また、法人事業税及び地方法人特別税については、外形標準課税の対象となる資本金1億円超の法人に適用される税率を用いている。なお、このほか、付加価値割及び資本割が課される。
3.アメリカでは、州税に加えて、一部の市で市法人税が課される場合があり、例えばニューヨーク市では連邦税・州税(7.1%、付加税[税額の17%])・市税(8.85%)を合わせた実効税率は45.67%となる。また、一部の州では、法人所得課税が課されない場合もあり、例えばネバダ州では実効税率は連邦法人税率の35%となる。
4.フランスでは、別途法人利益社会税(法人税額の3.3%)が課され、法人利益社会税を含めた実効税率は34.43%となる(ただし、法人利益社会税の算定においては、法人税額から76.3万ユーロの控除が行われるが、前記実効税率の計算にあたり当該控除は勘案されていない)。なお、法人所得課税のほか、法人概算課税及び国土経済税(地方税)等が課される。
5.ドイツの法人税は連邦と州の共有税(50:50)、連帯付加税は連邦税である。なお、営業税は市町村税であり、営業収益の3.5%に対し、市町村ごとに異なる賦課率を乗じて税額が算出される。本資料では、連邦統計庁の発表内容に従い、賦課率387%(2009年の全ドイツ平均値)に基づいた場合の計数を表示している。
6.イギリスの法人税率は2011年4月から27.00%に引き下げられる。
7.中国の法人税は中央政府と地方政府の共有税(原則として60:40)である。
8.韓国の地方税においては、上記の地方所得税のほかに資本金額及び従業員数に応じた住民税(均等割)等が課される。
これで見ると日本約40%と韓国約25%と日本と韓国の間には15%ほどの法人税負担率の差がある。
ただし、上記の法人税実効税率は計算が簡単だが、実際には各国の政府は産業振興・企業誘致のための政策として税制の優遇措置等を行い企業が実際に負担する税率を引き下げていることが多い。
以下は各国の企業が実際に負担した税率を比較した一例。産業競争力懇親会という日本の民間企業が中心となって運営している団体が発表している報告書(産業競争力懇親会 報告書「リーマンショック後の世界各国産業別税制・企業実質負担率 調査報告書」 2011年3月24日)の中にあるグラフ。
この調査は韓国企業のサンプルとしてSamsungやLGを選択している模様。調査期間(2006~2009年)の韓国の大企業の実際の税負担は15.5%と法人税実効税率(24.2%)よりも大幅に低かったことが示されている。